マッターホルン(4,478m) はヘルンリ小屋 (3,260m) から標高差 1,218m。
事前の高度順応無しに4,000mを超える高所でこれだけの標高差を日帰りするのは
かなりハードな山行になると覚悟はしていたが、
結果は所要時間17時間にも及びルートファインディングに悩まされた山行となった。
当初の計画では初日か2日目にロープウェイで3,883mのクラインマッターホルン
または足を延ばしてブライトホルンに登り、高度順応をした後に
マッターホルンを予定していたが、滞在期間中の天気予報は晴れのち曇り時々雷雨と不安定、
5日間の短い滞在でチャンスを逃す訳にはいかないので
ツェルマット到着2日目にヘルンリ小屋まで上がり、
天気が崩れればヘルンリ小屋で待機し問題がなければ
そのまま次の日にマッターホルンに登る計画に変更した。
結果的にマッターホルン登頂翌日8月1日は午後から天気が崩れたが
結果的にマッターホルン登頂翌日8月1日は午後から天気が崩れたが
それ以外の滞在期間中は概ね快晴だった。とても運が良かった。
取り付き
マッターホルン・ヘルンリ稜は一般ルートでクライミングはIII級程度、
困難な部分は無いがルートファインディングが難しい。
日本の山の様な目印は無く、様々な所に踏み後があるので正しいルートを探すのがとても難しい。
間違った踏み後に入って行くとガレており岩も脆く危険。
突っ込むと進退窮まる危険性がある。
またヘルンリ小屋からソルベイ避難小屋までのルートは稜線ではなく、
東壁にかなり入り込んだところを左上していく。
下から見ると山頂まで稜線が綺麗に伸びているので
心理的に稜線上にルートを取りたくなるが間違っている。
基本的にガイド登山を前提に考えられている様で
基本的にガイド登山を前提に考えられている様で
小屋の食事や出発はガイドパーティーが優先されるし
ルートに印があればガイド不要になってしまうから印をつけないという事かもしれない。
7月31日、ヘルンリ小屋では朝4時に朝食で4時半から。
10組程度のガイドパーティーが全員出発した後に出発した。
ガイドパーティーは最初から早いスピードであっという間に置いて行かれたが
前日に取付きから少し上まで偵察をしていたので最初の部分は暗い中迷う事はなかった。
最初のピナクルは下部を左上した後に右上し右から回り込む形で上部に抜けるが
最初のピナクルは下部を左上した後に右上し右から回り込む形で上部に抜けるが
暗い中でのルートファインディングが難しく、ガイドレスの他2パーティーと前後して
行ったり来たりを何度か繰り返しながら進んだ。
2つ目のピナクルは東壁にかなり入り込んで左上する。
2つ目のピナクルは東壁にかなり入り込んで左上する。
稜線にあるこのピナクルは右手に見るだけで接近しない。
このルートも非常に分かりにくい。3つ目のピナクルで初めて稜線に出て右側から巻き、
再び東壁に入って直上気味にしばらく上るとソルベイ避難小屋に到着する。
標高は 4,003mでいよいよ4千メートルを超す。
ソルベイ小屋前で日の出
ソルベイ避難小屋(無人小屋)はトイレの匂いが強烈に臭いが
小屋自体は想像していたより整備され
ブランケットも置いてあるのでビバークには問題なさそうだった。
ソルベイ避難小屋には08:30頃到着。
ソルベイ避難小屋には08:30頃到着。
前日ヘルンリ小屋でガイドから聞いた話しでは
通常11時頃からガスが出始めるので山頂には9時到着するのが理想と聞いていたので焦る。
高度順応ができていない為か息切れがして体がとても重く、
高度順応ができていない為か息切れがして体がとても重く、
気持ちは焦るのにスピードが上がらない。
頭痛や顔のむくみ等の自覚はなかったので
そのまま上に向かっても大丈夫と判断したがかなり辛かった。
ソルベイ避難小屋から山頂までは基本的にルートが稜線上となり
フィックスロープが張られているので迷う事はない。
マッターホルンの肩でアイゼンを装着、ピッケルを出す。
山頂手前100m程度からは雪稜で大勢の踏み後があるので問題はないが
右下は 2,000mほど切れ落ちる北壁で高度感が半端なく緊張する。
山頂前の雪稜
7時間半かけてようやく登頂。
5時間程度で到着できると考えていたが想像以上に時間がかかった。
ルートファインディングが難しく下山にも同じ程度の時間がかかる
と考えていたので 山頂では登頂の喜びをゆっくり噛みしめる余裕もなく
Iさんと握手を交わし何枚か写真を撮って早々に下山を開始する。
山頂では北側の雄大な景色を見る事ができたが東も南もガスで視界が悪かった。
マッターホルン(4,478m) 山頂
下山は登りと同じ道だったが再びルートファインディングに苦労した。
スケールが大きく目印となる特徴的な地形が少ないので
下から見る景色と上から見る景色の違いが大きく、
Iさんとああでもない、こうでもないと相談しながらの下山となった。
ソルベイ避難小屋に到着したのが16:30。
21時過ぎの日没までにヘルンリ小屋に到着するのは困難かもしれず
ソルベイ小屋でのビバークを考えたが、ガスが晴れた事と
翌日の天気があまり良くないと予想され体もまだ動くので下山する事とした。
その後も各所でルートファインディングに悩み
その後も各所でルートファインディングに悩み
最終的にヘルンリ小屋に帰着したのは日没直後の21:20だった。
翌日8月1日はのんびりヘルンリ小屋からシュバイツゼー駅まで下山し
ロープウェイでツェルマットに戻ってゆっくりした。
マッターホルンはぎりぎり成功のハードな山行だったが
マッターホルンはぎりぎり成功のハードな山行だったが
4千メートルを超える海外の山に登頂できた事は非常に良い経験と思い出になった。
パートナーのIさんに感謝!!
ブライトホルン (4,164m)
8月2日はブライトホルン (4,164m) に登頂した。
この山はマッターホルングレーシャーパラダイス駅 (3,883m) まで
ロープウェイで一気に上がり、氷河の雪原を2時間弱で登れる手頃な山で
大勢の人がひしめく山頂だった。
文句なしの快晴で360度のパノラマを楽しめた。
ブライトホルンから見るマッターホルンは正面が東壁で
ヘルンリ稜側から見る姿とだいぶ違う。
あの急峻な山に登頂したのだと思うと感慨無量だった。
マッターホルン東壁
ブライトホルン (4,164m) 登頂
8月3日はハイキング。
ロープウェイでゴルナークラート (3,089m) まで行き、
モンテローザ (4,634m)の威容を眺めてから
逆さマッターホルンが見られるリッフェル湖に立ち寄り
リッフェルベルグ駅まで美しい景色を満喫した。
モンテローザ(左)とリスカム
ブライトホルン (4,164m)
ツェルマットでは自炊設備のあるホテルに滞在した。
物価がとても高いところなので外食はせず
スーパーで食材を買って部屋で自炊して食事を楽しんだ。
簡単な物で済ませたがそれでも夕食は一人3000円程度になった。
ビール(3-400円程度)ワイン(1000円以下)は安くて豊富。
部屋のバルコニーからはマッターホルンが正面に見えて予想以上に良いところだった。
Residence Patricia 6泊約 ¥57,000
Residence Patricia 6泊約 ¥57,000
ヘルンリ小屋
1泊2食(夕食、朝食)CHF150(約¥17,000)
水代 2L CHF9
1泊2食(夕食、朝食)CHF150(約¥17,000)
水代 2L CHF9
Swiss half fare pass CHF120 (鉄道、ロープウェイが半額となる)