北アルプスの南端、23のピークをもつ乗鞍岳。
駐車場からもその大きな山容を望むことが出来た。
夏道であれば日本一標高の高いバス停のある畳平が有名だろう。
今回は反対側の休暇村からリフトを3本乗り継ぐ。
リフトに乗ると、足元には爽快に滑走するスキー客。その奥に佇む標高3026mの剣ヶ峰を眺めながら、私達は静かに高度を上げて行った。
かもしかリフトトップに降り立つ。そこからスノーシューまたはワカンを装着する。
今回はテント泊なので背中がずっしりと重い。
ここから上の樹林帯はスキーのツアーコースになっていて、
沢山のバックカントリースキーヤーが気持ちよさそうに行き交う。
1時間半ほど歩いたところ。
位ヶ原山荘の手前の、斜面のなだらかな場所が本日の幕営地。フカフカの地面を平らに慣らしテントを張る。
トイレを作り、水づくり用の雪を手際よく集める。
テントを2張、A班とB班。
少し時間があったので滑落停止訓練も。
再びテントに戻り、集めた雪で水づくりを終え、そしてお待ちかねの夕食タイム!
今日は料理上手なSさんが食担で、朝からずっと楽しみだったのだ。
メニューは鍋。野菜+豚肉→餃子→〆は某ラーメンという家メシばりの豪華な内容で、心身共に温まった。
翌日は4時起き、各々準備を整え5時半出発。
必要なもの以外テントにデポし、スタートだ。
朝が来た。
夏山とはまた違った光のマジックに息を呑む。
まずは肩の小屋を目指し、広大な大雪原を行く。
冴える青、トルマリンのような青、グラデーションの青。
あっちの空とこっちの空とで、色んな青だった。
肩の小屋でアイゼンを履き、ピッケルに持ち替えた。
ここからは朝日岳をトラバースしながら稜線へ上がり、剣ヶ峰へ。斜度が上がる。既に足が重く、息が上がる。
心折れそうになりながら必死にトレースを目で追った。
剣ヶ峰手前、最後の急登で後ろを振り返る。
雄大で静かな雪の北アルプスががそこにあった。
足元を見ながら必死に喘いでいた私の背後で、ずっとこんな景色が広がっていたのかと、何だか不思議な気持ちになった。
剣ヶ峰の鳥居をくぐるとすぐリーダーが待っていてハイタッチ。「よく頑張りました」と穏やかに声をかけて下さり、
張り詰めた気持ちが一気に和らいだ。
本当に現実かと思ってしまうほどの美しい景色。
これが見られるから明日も頑張れる。
2/27 休暇村13:00=13:30かもしかリフトトップ〜13:30幕営地
2/28 幕営地5:40〜7:30肩の小屋〜8:30剣ヶ峰〜9:10肩の小屋〜10:00幕営地10:30〜11:30休暇村