ワカンの限界を思い知った昨年末の八甲田山行。
今年はスノーシューも完備、登山口の酸ヶ湯温泉前泊。
日帰りで行けたら八幡平にも足を延ばし、それならきりたんぽも食べないと、
と欲を出していると、今年も年末は荒れ予報。苦渋の決断で中止とする。
せっかくの長い休み、普段行けない山域へと、リーダー半日足らずで山行計画、
宿の手配と素晴らしい代替案捻出。東北の火山に未練を残しつつ、関東の火山を目指す。
12/26＜浅間山＞
この日は極寒、強風予報。しっかり踏まれたルートを進むと、眩しい青空の下、
振り返れば富士山がくっきり。穏やかな樹林帯から外輪の稜線に上がると、
ガトーショコラの前掛山が見え始める。早く全貌が見たくて気がはやる。
すごい美味しそう！いやいや、すごい大きい！予報に反して風もなく、
日差しの温かさで寒さもそれほど感じない。黒斑山から外輪の端っこ、鋸岳を目指す。
蛇骨岳で樹林帯を抜けると、絶景の稜線歩き。賽の河原や天狗の露地をはさんだ向こうには、
雪を纏った剣ヶ峰や牙山が厳めしく、広大な景色のスパイスになっている。
向きを変えながら迫りくる前掛山の山肌は、斜めに走る夏道や、
噴火の歴史を物語る縞目がはっきり見て取れる。振り返りながら眺めていた富士山が右肩に現れる。
この壮大な裾野の前では日本一の山も存在感が薄い。
上々の滑り出し。妙義山の山容に驚喜しながら明日の山のお膝元へ。
八甲田山の記録が上がっていないかチェックしながら、赤城鶏に舌鼓を打つ。
12/27＜赤城山＞
寒さも和らぎ最高の天気。でも登山口までの道路はカリカリでヒヤヒヤ。
赤城神社が浮かぶ大沼の氷のグラデーションを目に、雪に埋もれきらない階段を登る。
駒ヶ岳へ続く稜線に上がるとプチアルプスのような縦走路。振り返れば今日も富士山、
昨日登った浅間山も角度を違え、ガトーショコラには到底見えない真っ白な姿。
右手には広大な関東平野。見慣れない景色が楽しい。
駒ヶ岳のピークからは大沼の向こうに白い峰々がちらりと覗く。
もっとよく見たいと最高峰、黒檜山を目指す。黒檜山大神の鳥居を過ぎ、赤城山山頂到着。
山頂標には絶景スポット2分の文字。霧氷が美しいすでに絶景の稜線を北端まで進むと、
白き武尊山、谷川連峰が目に飛び込んでくる。遠く、八ヶ岳も見える。
また行きたい山が増えていく。賑やかな山頂を後に、大沼を眺めながら下山。
ひっきりなしに登ってくる人達。人気の山であることはもう実感済みである。
この日も妙義山の山容に驚喜しながら、さらに北東へ車を進める。
明日は下山後そのまま帰るため時間がタイト。前もって登山口を確認、登山バッジも購入。
八甲田山の記録が上がっていないかチェックしながら夜が更ける。
12/28＜那須岳＞
名物は強風、というぐらい記録にその文字が並ぶ那須岳。出発前の予報では極寒、強風。
計画通り歩けるか心配していたが、杞憂であった。閉鎖されているロープウェイ乗場を超え、
緩やかに登って行くと、茶臼岳の斜面に走るトラバース道が見えてくる。
広大な規模を感じることが出来る素晴らしいルートを進む。
雪が緩まないうちに冬季限定の剣ヶ峰へ。上から下ってくる人を見ながら、
その急斜面に緊張しつつ準備を整える。岩と雪の急斜面を登り、雪の細い稜線へ、
たどり着いた先からは那須連山、山本鎗岳、武尊山、余すところなく真っ白な谷川連峰。
振り返れば目線を合わせて対峙する茶臼岳の姿が圧巻。雪に埋もれたお地蔵様に別れを告げ、
慎重に下る。いよいよ最後のピーク、最高峰、茶臼岳に向かう。
山頂直下は雪たっぷり。気持ちよく斜面を登り上げると、見渡せるほどのいい加減のお鉢。
縁に沿って歩いて行くと、さっきまで雲がかかっていた山頂は青空の下。
心弾む景色に顔がしまらない。片側は白き峰々、片側は広大な平野。
いつもと違う見慣れぬ景色。山座同定に時間がかかる。
いつまでものんびりしていたい穏やかで静かな山頂を後に、充実した三日間を思いながら、
幸せな気持ちで下山。山行は終わったが、まだノルマは残っている。
たとえ帰りの電車に間に合わなくても、食べずに帰るわけにはいかない。
“焼1、水1とライス！”声高らかに注文し、まだかまだかと待っていると、
こなれたお客さんが次々と“揚”を注文する。“揚1追加で！”もう思い残すことは何もない。
大好きな火山を、雪の季節に歩くことが出来て、道々美味しいものも食べながら、
本当に楽しい登り納めになりました。何から何まで、リーダーありがとうございました。