元々は雪壁チームの慰労山行としてスタートしたタイのクラビ遠征だったが、
今年はKTB、TR、SYが初参戦。
去年参加のKSG、NMと合わせて総勢5名での決行となった。
一人ひとりがそこそこクセのあるメンバーが5人集まりタイへ繰り出すとなれば、
珍道中とならないはずがない。
【出発:バンコク スワンナプーム空港にて】
日本で購入した格安のタイsimカードをNMがスマホにセットした瞬間に、
KTBからメッセンジャーにコールあり。
「タイのホテル名が分からないから入国できない」とのこと。
何故ホテル名が分からないのかはさておき、
「入国したらダメですよ。タイ国内線のトランジットカウンターまで来てください」と伝える。
こうして関空発の4人と東京発のKTBは辛うじて集合に成功した。
思えば、この時点ですでにこの珍道中のオチは決まっていたのだ。
しかし、そのことに本人はじめ誰も気付いてはいなかった。
【一日目(6月27日):プラナンビーチ】
去年と同様にバンコク経由クラビに入る。
今回はクライミングに集中したいというみんなの意見により、
半島のライレイエリアに宿を取る。
行きはアオナンマオからライレイイーストへ渡る。
一泊一室4,000円の三ッ星ホテルは、
ダイヤモンドケイブの岩場から徒歩1分の場所だった。
去年と同じくShadow Climbingで70mロープをレンタルしプラナンビーチへ。
寝不足な初日にしては、ガッツを出して3本登る。
アップのはずの6A(5.10ab)の一つがなかなか辛い。
三ッ星のMonkey Maker 6A+(5.10c)をみんなで登って初日は終了。
美しいプラナンビーチを堪能した後はタイ料理が待っている。
ライレイの目抜き通りであるウォーキングストリートの
一番内陸側にあるローカルな食堂で、ガパオ、ソムタム(パパイヤサラダ)、
空心菜、グリーンカレー、ガイヤン(鶏焼き)などメイン処をペロっと平らげる。
みなさん食欲旺盛。ビールも大ビン7本開けてお腹いっぱい。
これで一人330バーツ(1,100円)というコスパに一同喜びの声を上げる。
食後は急激な眠気に襲われ一同退散。
20時前には各自就寝し、明日からの連登に備えた。
【二日目(6月28日):トンサイビーチ、ダイヤモンドケイブ、ワンツースリー】
未明の豪雨に午前中はダメかと思いきや、
回復傾向なのでトンサイビーチを山道で目指す。ところが道が悪く敗退。
晴れ間も出てきたので、気を取り直してライレイウエストビーチの
海沿いの道からトンサイを目指す。今日はルートのチェックだけ。
近くのホテルで朝食ビュッフェ。
ホテルに戻り、すぐ近くのダイヤモンドケイブへ。
ここはいつもガイド講習会で賑わっている。
正面の壁の右側にいい具合のコルネがあり、コルネ左のルートが6A(5.10ab)。
コルネ右のルートはMosquito Coil 6A+(5.10c)。どちらもなかなかの好ルートだ。
いつの間にか快晴となり、日差しが痛く、1本登ると汗が噴き出しアゴからしたたり落ちる。
そういうときは、小走りで1分。ホテルのプールにドボンだ。
体が冷えて気持ちいい。
プールのテラスでビールを飲む。
シーブリーズが心地よく、一同至福の時間を過ごす。
15時過ぎからワンツースリーの岩場に行ってみる。
ここもガイド講習会でよく使われる場所だ。
ロケットスタートで有名なWe Sad 6A+(5.10c)へ取り付く。
女性二人がスタートできず、、、
文字通りWe sadとなってしまった。
夜はタイ料理、そしてタイマッサージへ。
1時間で250バーツ(850円)。最後のひねり技に一同うめき声を上げる。
【三日目(6月29日):トンサイビーチ、ワンツースリー】
今日は朝一からトンサイビーチへ。
この辺もたくさんの岩場があるが、海に面したDum’s Kitchenが快適だ。
ここの名物三ッ星ルートLion King 6C+(5.11d)の左には、
タイ語で「簡単」6A(5.10ab)、「難しい」6B(5.10d)という一対のルートがあり、
なかなか面白い。
KTBはLion King 6C+(5.11d)に狙いを定めたようだ。
朝早くから登り、日中は休憩し、夕方からまた登りに行くというのが、
潮の干満を考慮しても効率がいい。
ということで海辺のレストランの2階でランチ。
キンキンに冷えたココナッツウォーターが最高に旨い。
パッタイ(タイ焼きそば)やタイチャーハンも旨い。
ビールを飲んだらみんなでゴロ寝。
オフシーズンなので、客も少なく、しばらくごろ寝OK。。
夕方は再びワンツースリーへ。
KTB、TR、SYが登っていたMake A Way 6B(5.10d)というルートは三ッ星ルートだった。
KSG、NMは鍾乳石のツララに乗り移るムーブがトリッキーなRamazon 6A+(5.10c)を登る。
帰り道、干潮で現れた干潟にでかいトカゲが”のそのそ”と…
珍獣ハンターKSGが後を追う。
ミズオオトカゲ??
夜は再び見抜き通りのローカル食堂でタイ料理。
調子に乗ってカレーを「辛くしてくれ」と頼む。
その辛さに一同絶句。調子に乗ってごめんなさい。
今夜は最後の夜なので、2軒目はレゲエな掘っ立て小屋の2階へ。
いちおうカクテル風な飲み物を飲んだら、SKGがスイッチオン。
梁に丸焼きスタイルでぶら下がるという奇行を見せ始めたので、一同帰ることにする。
帰りがけも街灯を一つ一つ覗き込み、ヤモリを捕まえようとする珍獣ハンター。
一同、当たらず触らずの大人の対応。最後の夜はこうして更けていった。
【四日目(6月30日):トンサイビーチ / ダイヤモンドケイブ】
最終日はやり残したことをやりたい。
KTB、SYは早朝からトンサイのLion King 6C+(5.11d)を目指す。
Attacktit 6B+(5.11ab)にチャレンジしたいKSG。
同じくSeven Seven Seven 6B(5.10d)をやり残しているNM。
そして少しお疲れのTRは、ホテル横のダイヤモンドケイブへ。
そして11時にチェックアウト。
ボートでアオナンへ向かう。
8人乗りのボートは1艘800バーツ(2,700円)。
8人集まれば一人100バーツで済むのだが、集まるのに時間が掛かるので、
5人で800バーツ払い1艘貸切る。
アオナンでランチを食べ、お土産を買い、カフェで一服。
そしてクラビ空港へ向かう。
【帰国:クラビ空港にて】
チェックインカウンターでそれは起こった。
KTBのチェックインがなかなか進まない。
カウンターの女性スタッフも首をかしげながら予約状況を確認している。
KTBの旅程表を見てそれは判明した。
「帰国便 6月30日 バンコク 0:35発 成田行き」???
もしかして「帰国便、一日まちがえてますよね」そう、
日付が変わっているので7月1日の便を予約しなければダメだったのだ。
「やってもうた~!!!」クラビ空港内にKTBの関西弁が響きわたる・・・。
【エピローグ:(再び)バンコク スワンナプーム空港にて】
人生は面白くなくてはならない。
山もクライミングも旅も、面白いのが一番だ。
今回の遠征は珍道中の「オチ」も含めて本当に面白かった。
KTBも何とか帰国便のチケットを入手できたようで一件落着。
美しい海。照り付ける太陽。ツルツルで憎らし気な石灰岩。
容赦なく襲ってくるジャイアントモスキート。
激辛のタイ料理。あっという間のバカンス。
参加メンバーのみなさん、ありがとうございました。