上高地、道の両側には白いニリンソウの蕾がいっぱい。
夏とは違いひっそりしているが暑さは夏のよう。
透き通った梓川を見ながら徳澤、横尾と進み、槍沢ロッヂを過ぎると、
ようやく雪山らしい様相に。
沢の両側、赤沢山、横尾尾根の急な斜面から流れてきたであろうデブリがいっぱいの槍沢を進む。
大曲で大きく曲がると正真正銘雲一つ無い青空を背景に大喰岳や、
どっしりとしたツバメ岩が目に入る。
小高くなった槍沢モレーンの雪面に縦筋が入りプチ浅間山のようだ。
気温も上がり傾斜も徐々に増していく。暑い、しんどい、咽が渇く、ビール飲みたい。
穂先は明日でええやんと皆思っているに違いない。
グリーンバンドを越えるとやっと穂先がお目見え。見えてからが長い。
近そうに見えるのになかなか近づかないのはお約束。
殺生ヒュッテが眼下になり、傾斜も最大、またもヘロヘロになりながら稜線に乗り上げる。
ずっしりと大きな穂先と稜線からの景色に辛さが霧散。
日が長くなり明るい景色を眺めながらビールを飲む。のんびりとした心地よい時間。
このために登っている。晩ごはんは焼肉。まさに血になり肉になる美味しさ。
空がうっすら赤みを帯びてくるなか穂先へ。途中雪が残っているが登り下りに影響はない。
山頂へたどり着くとちょうど日が登る。
いままでいろんな山からその姿を探しては歓喜したトンガリの上にいる。
風もなく寒くもない心地よさに雪山の終わりを感じてちょっと寂しい。
行った山、行きたい山、ひとしきり目に焼き付ける。
笠ヶ岳と影槍ヶ岳
あんなに千々と進まなかった急斜面、下りは雪の調子もよくあっという間。
ソフトクリーム、ソフトクリームと口々に長い道のり徳澤で大休止。
散策する人も増え賑やかな上高地は蕾だったニリンソウもぽかぽか陽気に一斉に開花していた。